思えば、私がやろうとすることに、
悉く反対した父でした。
何一つ、手助けをしてくれなかった。
その時はもちろん頭にきた。
でも、今、振り返って、
父には心から感謝しているのです。
父からは、財産といえるものを、
一銭ももらわなかった。
でもそれがよかった。
へたに財産なんかもらったら、
人の心も分からない人間になっていただろうし、
今の私はない、そう思うのです。
人間、生まれてきた時は、
みんな裸です。
死ぬ時も、裸だ。
大切なのは、
一人の人間として、
どう生きるかです。
だからこそ、青年には、
「丸裸になって生きろ」
と訴えたい。
きれいに自分を着飾ったって、ダメだ。
一人の人間として、丸裸になって勝負することです。
それで、どん底に落ちてもいい。
私も死のうと思ったことは何度もあった。
でも、谷底まで落ちれば、開き直れる。
普通の人は、怖がって、
中途半端なところで立ち止まってしまう。
だから、上にも上がっていけないんです。
どん底を経験することだ。
そこから這い上がった人だけが、
本物になる。
本当に丸裸になって、
真剣に戦っていれば、
助けてくれる人が必ず現れます。
不器用で、財力もなく、
利口でもない私が、なぜ、
ここまでこられたのか。
アメリカの東洋文化の研究者である
アレックス・カーという人が、
「それは真剣に生きてきたからだ」
と分析していた。
まさかアメリカ人に、
そんなことを言われるとは
夢にも思わなかった(笑い)。
私はこれまで儲けとか、
利益を一切、考えないできた。
私の自宅は、
バラック小屋のような家です。
周囲から、
どうして会長なのに、
立派な家にしないのか
と言われることがある。
住む家なんて、
雨露がしのげればいい、
そう思っている。
そんなことより
地元を元気にしたい――
その思いだけです。
これからもますます
情熱を燃やしていくつもりです。
自分の生まれ育った場所を
幸せにできない人が、
自分を幸せにすることなどできない、
そう思っているからです。
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