わが家は、たとえようもないほど貧乏で、
当然、家にお風呂などありませんでした。
だからこそ、テレビから流れる
「バスクリン」のコマーシャルに、
どれほど憧れを抱いたか。
“きっといつかは、あれを入れてお風呂に入ってみせる”
と、淡い夢を抱きました。
夢なんていうと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、
当時の私にとっては、まさに夢でした。
夢が叶ったのは、大学に進学し、
友人と共同で部屋を借りた時です。
初めて買い出しに出掛けた時、真っ先に手にしたのが、
「バスクリン」でした。
湯船に、オレンジ色の粉を入れると、
みるみる緑色に変わり、爽やかな香りが
浴室いっぱいに広がっていった。
もう感動でしたね。
狭くて、むさ苦しい共同部屋が突然、
リッチな暮らしになったようでした。
もちろん気分だけですが(笑い)。
その時の貧しい学生が、
後に㈱バスクリンの社長になるとは、
人生というのは面白いものです。
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